目標との付き合い方

登山 目標

ご存知の方も多いと思いますが、1つの寓話をご紹介します。

旅人が、建設現場で作業をしている人に「何をしているのですか?」と声をかけた。

1人目のレンガ職人は、「レンガを積んでいる」と答えた。

2人目のレンガ職人は、「壁を造っている」と答えた。

3人目のレンガ職人は、「大聖堂を造っている、神を讃えるためにね」と答えた。

経営学者として有名なドラッカーの「3人のレンガ積み」の話を、簡略化したものです。

目標から始まる

1人目の職人が答えたのは、行為そのものです。

2人目の職人が答えたのは、行為の目的が壁を作ることだということです。

3人目の職人は、壁を作る目的を答え、さらに、神を讃えるために大聖堂を作るという目的を付け加えています。

目の前の仕事から顔を上げ、目的を持つことを推奨する教訓であるとともに、行為の目的には、さらにその目的が存在するという、目的と手段の連鎖を示す寓話です。

目的や目標志向の方は、将来のビジョンを描き、変化を起こそうと考えます。

それは私たちの中の創造的な部分であり、未来志向の考え方です。

一方で、手を動かして作りあげているときに、幸せを感じる時もあります。

人に任せず自分で行い、その達成感を味合う、現在志向の考え方です。

本田技研工業の本田宗一郎と藤沢武夫、ソニーの盛田昭夫と井深大、幕末の吉田松陰と高杉晋作など、未来志向と現在志向という異なる気質の2人が力を合わせ、飛び抜けた成果を残す例は、枚挙に暇がありません。

未来志向と現在志向の間

個人の場合、達成したい目標がある人は、未来志向と現在志向との間で発生する葛藤を、解決しなければならないことがあります。

目標や目的を持つことは、もちろん良いことですし、成果を出すためのスタートだとも言えます。

しかし、目的意識が強くなりすぎると、目の前の地味な作業が手につかないというのも、多くの方が持つ悩みのようです。

夢想することは楽しいですが、実際にやるとなると面倒なことも多いため、ここに葛藤が生まれます。

目標を紙に書くことについて

また、目標を紙に書いて眺める、というのもよく聞く話です。

モチベーションが上がりますし、常に意識することは良いことだと思いますが、しばらくすると結果が伴っていないのに、見慣れてきたせいか、新鮮味がなくなり、意識に上りづらくなる場合があります。

毎日のように目標を反芻する、という方もいらっしゃれば、週1回という方もいらっしゃいます。

モチベーションを維持、向上させるため、常に意識することも重要ですが、私は、その目標に対する行動の進捗や改善策を検討することに、重きを置いています。

このため、毎日のように目には触れるものの、時間を取って反芻するのは1週間に1度です。

むしろ、それ以上の時間を意識的に取らないようし、現実に手を動かす行動に目を向けます。

この、毎日がいいのか、週間がいいのかというサイクルについては、個人差があると思いますし、意見が別れるかもしれません。

人によっては2週間毎が丁度いい、という方もいらっしゃると思います。

目標との距離感

申し上げたいのは、意識に上らすことが可能で、行動とも結びつくサイクルで、 目標を反芻するという習慣を確立することです。

それは例えば、家族や友人、人によっては経営チームなど、自分に近い他者との距離感の取り方に、類似しているのではないでしょうか。

いつも顔を付き合わせていた両親でも、しばらく離れて暮らすと、その有り難みを再認識し、存在の偉大さを改めて感じるものですよね。

目的や目標との付き合い方も、非日常の側面を残しつつ、日常的に付き合う対象ではないかと思うのです。