自分探しの旅が必要ないわけ

野球場 自己実現

日米野球で、ヤンキースのユニフォームを着た松井秀喜・元選手を、感慨深く見ていた方は多いのではないでしょうか。

長嶋茂雄・元監督が掲げた、新人の松井元選手を1000日で4番にする、「1000日計画」は当時話題となりました。

長嶋元監督は、遠征先では必ず松井元選手の個人指導を行っていたそうですね。

試合が終わった後もユニフォームのまま宿舎に帰り、素振りを通じて打撃フォームを指導したエピソードは有名です。

身体の動きを見る方法

今のプロ野球選手は、コーチに指導してもらうことに加え、自分で動画を撮影し、繰り返し見て反芻する方も多いそうです。

スマートフォンで気軽に撮影できるため、落語家やお笑い芸人も同様の試みをされる話を見聞きしますが、人に見てもらうにせよ、自分で反芻するにせよ、自身を客観的に捉えることが成長の近道といえるかもしれません。

自身の内面を見る方法

身体の動きは動画で見ることができますが、自身の内面を見ることは、容易ではありません。

そうした今の心的状態を鏡のように映すものは、家族や友人、職場などの身近な存在から新たに出会う方を問わず、自身を取り巻く他者との関係です。

本を読んでいくら知識を蓄えてみても、思索を深めたとしても、自分を客観的に知ることはできません。

また、職場などでは最近の世相もあってか、飲み会の誘いは断り、「自分は自分」というスタンスの方が多いと見聞きします。

一人暮らしで職場でもなるべく関係を持たず、仕事が終われば部屋で過ごし、交流は気の合う友人に限定する。

それはそれで楽かもしれませんが、「自分は自分」と他者との間に一線を引いてしまえば、自身を知る機会を逸し、少なくとも損しているのは本人以外おらず、そんな機会があったかどうかさえ、認識できません。

自分が何に役立つのか、貢献できるのか、漠然とした見当はつくかもしれませんが、具体的にどんな切り口で、どんな人に役立つかは、他者との関係からしか知り得ないのです。

多くの自己評価がただの思い込みであることに気付き、自分の立ち位置のヒントが点となり、線となり、面となったところで、うっすらと輪郭が見えてきます。

他者に役立ち、評価されるからこそ、自己の存在意義、健全な自尊心や色褪せない誇りを持つようになり、そのおまけとして報酬を得ることができるという、ごくごく単純な話なのです。