何かを変えたいと思う時、多くの方は短期間で一気に「変えたい」と思いがちです。
「変える」と「変わる」
願望をそのまま行動に移すのは、気分も良いですし、「変わろう」と思って行動することは重要なことですが、すぐには変わらないことの方が多いかと思います。
さらに、変わらない時には、重力の法則のごとく、現状を肯定する力が働きます。
「変える」意思と、結果として「変わる」ことは、次元が異なります。
理想とするイメージに、変えようとする意思や覚悟がなければ始まらないのですが、行動は、変化の幅を小さくして、積み上げた方が上手くいく場合が多いようです。
ダイエットは典型例
三食の他に間食も欠かさない人が、ダイエットを始めたとします。
短期間で体重を10キロ落としたいため、朝夕の二食に変えることを行動の目標として、一気に間食をやめ、一食減らしたとしたら、挫折することは想像に難くありません。
まず間食を止め、三度の食事も、ご飯などの炭水化物の量を減らす、朝食を多くとり夕食を減らす、寝る3時間前からは水以外口にしない、大好きな和牛ハンバーグではなく豆腐ハンバーグにするなど、1回の食事を工夫することでダイエット効果が出るかもしれません。
その上で必要であれば、朝と夜だけの二食にトライしてみるなど、成果がでるやり方を少しづつ採用し、変化の幅を小さくすることで目標の実現可能性は高まり、「変わる」ことができます。
より挫折しない方法2つ
さらに、途中で挫折しないために、2つの方策をお勧めします。
目標や目指していることを宣言
1つは、周囲に目標や目指していることを宣言してしまうことです。
身近な他人に対してでも、ツイッターなどで見知らぬ人に対してでも、効果は期待できます。
本人が思っているほど、他人のことを気にしていませんし、言ったことも覚えていません。
しかし、自分が言った事実は、自分の中に残っています。
現在の自分からしたら恥ずかしい内容かもしれませんが、勇気を出して痕跡を残してしまいましょう。
もしかしたら、誰かが覚えているかもしれない、というのもいい意味でのプレッシャーになります。
自分が見られる環境を作る
もう1つは、行動を見られる環境を作ることです。
カフェや図書館などで、勉強したり仕事したりすることが、誰もいない場所で一人で行うより、高い集中力で取り組めることを「ホーソン効果」といいます。
一人で仕事や学習することが苦痛でなくても、関係ないサイトやテレビを見てしまい、無駄な時間を過ごしてしまった経験はないでしょうか。
会社に出勤することも、ホーソン効果を享受できる方法の一つです。
在宅勤務は、通信環境が整ったことにより、通勤時間を無くし、育児や介護などとの両立を可能とする制度ですが、生産性を改善する働き方改革の旗印のもと、メリットばかりが強調されています。
メリットとデメリットの両方を理解した上で、意思決定する必要がありそうですね。
それはさておき、実際に経過の行動を見られる環境は、SNSなどを使えば容易に可能となります。
目標に向けて実行したことを、誰も気にしていないかもしれませんが、定期的に報告して晒してしまいましょう。
私は資格勉強の時に行ったことがありますが、見られているという視線を感じざるを得ないため、緊張感を保ち続けたせいか、挫折を食い止める一定の効果がありました。
他者を巻き込んだ人が享受できる
「変わる」ために、自分の意思だけで継続できる方は、ごく少数だと思われます、少なくとも私にはできませんでした。
目標を宣言する、経過を見られる環境を作る、という他者を巻き込んだ2つの施策を、知っている人は多いかもしれませんが、実際に行っている方は非常に少ないので、実践するだけで大差がつきます。
「変える」という意思、覚悟、衝動が、「変わる」という行動や結果に変換される、精度の高いシステムではないでしょうか。