起業に対する誤解

誤解 起業

先日、2年前に某商工会議所で講師をしたときの受講生から、コンサルティングをお申し込み頂き、久しぶりにお会いしました。

他人の起業熱を利用する人々

現在、彼は自治体の職員で、お会いした冒頭「退職はしていないながら、晴れて起業(正確には副業ですね)できた」と、おっしゃりました。

詳しくお聞きすると、商品を仕入れてアマゾンで販売する、フログを書いてアフィリエイト収入を得るなど、なるほど20代で起業される方の、最近の登竜門だなと思っていたところ、リゾート会員権の紹介ビジネス(グレーな方だったのでネズミ講ですね)の話をしだし、私にもやらないかと勧めていました。

そのビジネスの仕組み、彼の役割、どういう結末になるかについて、私が懇切丁寧に説明したところ、彼はその場で呆然としておりました。

紹介ビジネスを全て否定する訳ではないですが、被害にあってしまったなと直感しました。

さらに聞きだすと案の定、「実は、100万円を払った起業支援を名乗る業者に、提案された活動をやっている」とのことでした。

この提案されたビジネスが生んだ、彼の半年間の売上は2万円でした。

これはほんの一例です。

最近のシェアハウス詐欺よりはマシかもしれませんが、同様の起業相談被害にあって、私にたどり着くという方、実は少なくありません。

こういったビジネスを生業にしてる方は、当然、相手の結末が分かっているので、相手の人生を毀損させる悪意ある方々だと思います。

会社員を辞めることが起業でなない

しかし、本当の原因を作り出したのは、厳しいようですが自分自身です。

金銭の結果は目に見えるものですが、貴重な時間という資産も絡めとられており、その行動に時間を投下したのは自身の判断です。

この原因は、確固たる指針なり目標がなく、起業という形だけを求めたからに他なりません。

「起業して頑張る熱意はあります!でも何したら良いかわかりません。」という方が結構な割合でいらっしゃいますが、この段階で会社をお辞めになることはお勧めしませんし、もっと言えば、やってはならないことだと思っています。

自分に為そうと思う未来図がなければ、その人の起業したいというエネルギーだけを利用して懐を厚くする、悪意ある他人の絶好のカモになります。

また、その温床になりやすい業種は、他人が作った仕組みの1パーツになるだけの請負業が多いということです。

請負業からスタートして、ニーズを掘り当て、お金を貯めて、そこから本格的に自分がやりたいビジネスで成功したという有名経営者も数多くいらっしゃいます。

しかし、クラウドソーシングなどで請負業が容易になりつつあるため、スタートするのは簡単になりましたが、十分な収益を得ている方はほんの一握りです。

誤解を恐れず申し上げると、会社に雇用されているのも広義の請負業です。

独立してる場合と違い、最低限の収益保証があり、オフィスがあり、社会保険まで負担してくれる元締めとの契約で成り立っています。

ですから、請負仕事が中心で十分な収益がなければ、会社に留まっていた方がメリットは大きいですし、外部とも副業として関わり、そこから自分のビジネスを塾考することも可能です。

起業のタイミング

ここまで申し上げるのは、起業した(しようとする)人の回りには、搾取や利用しようとする輩が溢れている事実を身を持って知りましたし、同様の経験をする方が後を絶たないのを目の当たりにしてるからです。

自身の目指す方向が確立されてないと、時間も金も絡めとられるという状況が、口を開けて待っています。

そんな輩には目もくれず、目標に向かって前進しているものの、売上が上がらず苦しむというのは、初期段階の健全な苦しみであり、全くの別物です。

起業が容易になり、会社によっては副業も可能となりました。

人によって状況は様々ですが、1つだけ言えるのは『揺るぎない目標を決め、達成する覚悟を持つまで、本格的な起業をしてはならない』と、いうことです。

名ばかりの起業は、避けなければなりません。