今後も必要とされる人材

ミーティング 自己実現

「お客さんは商品やサービスが欲しい訳ではなく、悩み解決や願望を叶えることが目的である」という趣旨の金言は、一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

コミュニケーションの失敗①

一方で、お客さんと提供側の認知差異によるコミュニケーションの失敗が、感情レベルの摩擦や、それに伴う時間の浪費につながる例は、枚挙にいとまがありません。

例えば、幼い子供がいる家族がハワイ旅行に行く場合、子供と非日常のビーチや大自然の中で遊ぶことが、目的になるのではないかと思います。

ところが、祖父母も含めた三世代でハワイに出掛ける場合、祖父母は強烈な日光が降り注ぐビーチで子供と遊ぶことはなく、ショッピングや美味しいグルメなど、他の目的がなければ楽しむことはできません。

複数の、ときには相反する目的を叶えることを、提供側が求められる場面は珍しくありませんよね。

依頼側の悩みや要望は、漠然としたものだったり、明確になっていなかったり、実現可能性が低いケースも少なくなく、私も表面的な情報に惑わされた結果、満足いただけなかったという経験があります。

真因を掘り当てる

顕在化している内容を整理し、潜在的な悩みや願望を類推しながら真因を掘り当ててあげることが、依頼を受ける側の第一歩であると同時に、問題解決の全てを決めてしまうのではないでしょうか。

しかし、表面的な情報からは見えない、真の原因を探り当てるのは容易ではありません。

場違いな場所を掘ってしまい、「なんか違うんだよなぁ」と思いながら実行しても、本当の原因に働き掛けていないため成果に結びつかず、依頼側の満足度は低いものとなります。

コミュニケーションの失敗②

また、もう一つのコミュニケーションの失敗は、伝言ゲームの破綻です。

解決策を実行する時の、オペレーションで主に発生する場合が多いですが、社外の協力会社や社内も含めた提供側の情報が、正確に伝わらなかった事による伝言ミスや確認ミス、誤解などがこれに当たります。

フロントに立つ方が、責任を持ってマネジメントしていれば問題ないはずなのですが、インターネットサービスが充実しても、この手の失敗を目にすることは少なくありません。

この原因の1つは、依頼側と提供側の双方に備わった、その人なりの常識が大きく関係しています。

例えば、カーテンの購入で色を決める時、漠然と「白色」といっても、純白なのかアイボリーに近い白なのか、その人の持っている常識がありますよね。

支払い方法も、前払いなのか後払いなのか、表示価格は税込なのか税別なのかなど、その人にとっては常識だろうと思っていることが、相手にとっての非常識であるケースがあります。

解決しやすい問題

一方で、完成形をイメージできる「たたき台」を用意し、修正希望などのすり合わせをメールなどの履歴が残るようなやり方で行えば、本来は問題が起こりづらいフェーズでもあります。

インターネットを使ったツールが得意分野のはずですが、最終判断が人間であるため、うまくいかないことが起こるのでしょうか。

このあたりの不十分さを埋めるのに、AIは貢献するのでしょう。

AIは様々なところで話題となっていますが、ここ5年から10年では、顕在化された膨大な情報を学習してパターン化し、瞬時に意思決定できるレベルのようですね。

必要とされる人材

しかし、潜在的な感情や真の原因を、相手とのセッションによって言語化できるのは、人間にしかできないようです (仮にAIが担えるようになるとしても、数十年先のようです)。

であるならば、表面レベルの情報や言葉から真因を特定して方向性や目的を明確にし、それを実現する際の課題設定を行い、最適な解決策を提示できるような人材は、今後も多くの組織やプロジェクトの責任者として、必要とされないわけがありません。