いよいよ組織作りを本格化(従業員10人以上)

組織 マネジメント

起業後、順調に事業が拡大し、従業員が10人を越す前後から、30人前後までの組織作りについてお伝えしたいと思います。

従業員が10人を越したら中間管理職が主役

この段階から中間管理職の果たす役割が重要となりますが、一気に2人以上にするのが理想です。

つまり中間管理職1人時代はできるだけ短期間とする方が良いでしょう。

理由は2点あります。

1つは、中間管理職が1人だと、その方が潰れてしまう可能性が高いからです。経営陣が1〜3人、部下が10人以上の中で、様々な場面で板挟みになるため、同じ立場で、悩みを共有できる相手がいない状況はきついものです。

もう1つの理由は、将来的に、例えば経営陣への登用インセンティブを働かすためには、複数人であることで競い合う心理が働くからです。

そして、従業員30人以上を見据えます。

次のフェーズの準備で最も重要なことは、中間管理職の中で、自身で課題設定と解決策立案ができる人材がどうかの見極めです。

場合によっては、このレイヤーでの新たな人材調達を検討しなければなりません。

なぜなら、事業に規模感が出てきたので、経営者が解決策までどっぷり関与していると、新規事業開発を含めた会社の戦略策定や、人的ネットワーク構築など、経営者としてやるべきことに集中できないからです。

トップマネージメントと業務マネージメントの区分けを本格化し、経営陣はトップマネージメントに集中できる体制を模索する必要があります。

また、これぐらいの規模感になると、スキルや経験を持つ方の中で「会社に勢いもあるし、自分のキャリアにとってプラスになるに違いない」と考える人が、一気に増え、入社意向が強まります。

社長がいなくても考える組織

組織作りは、ここからが本番です。

組織作りを一言で言えば、「社長が自分の考えをわからせる運営」から「チームで考えをつくり出す運営」に変えることです。

社長の仕事は、「部下を動かすために命令をすること」ではなく、「命令がなくても部下が動けるようにすること」に変えていかなければなりません。

社長の役割は、命令を下すことではなく、合意の形成者に変わる必要がありますが、具体的に何をすればいいのでしょうか。

ドラッカーはこう言っています。

聞け、話すな、である

『経営者の条件』(P.F.ドラッカー、ダイヤモンド社)

もちろん、全く話さないという訳ではありませんが、どこまで関与すべきなのかを明確にする必要があります。

よく仕事を任せるといいますが、解釈は人によって異なり、受け手も曖昧に受け取っている場合が見受けられます。

私は、仕事を任せるといっても、課題設定までは経営陣も関与し、解決策には口を出さないという線引きが理想であると考えます。

なぜなら、現状の解釈、方向性策定、課題設定までは「視野の広さ」と「ストーリー性」、解決策は「現場感」がトリガーだからです。

また、経営陣が少しでも解決策に関与すれば、途中で必ず確認したがりますが、その行為に対して、中間管理職は権限が犯されたと認識し、結局、指示待ちになってしまいます。

中間管理職の権限、責任、報酬を明確にし、合意形成した上で、いよいよ始動します。

ここで留意したいのは、体制ができていないにも関わらず、グーグルのマネジメント方法などの書籍を読んで感化され、独立性を強調したチーム体制を作ろうとしてしまう点です。

各人の適性、権限委譲の合意形成の不十分さを振り返り、無理があったと、後悔する方を何人も見てきましたので、温度感なども含め、独立性の開放は慎重に考える必要があります。

経営陣の組織作りも重要

最後に、縦関係でなく横の関係である経営陣や幹部候補達とは、どういうコミュニケーションをとる必要があるでしょうか。

「当社が社会で実現したいことは何か」(ミッション)という共通の目的があってこそ、「何をやるか」(事業)という手段を決めることができます。

組織は、人の集まりではありません、「考え方」の集まりです。

ですから、共通の考えを創り出さなければなりません。これまでに社長が作った旗印はあるかもしれませんが、他の人は決めるまでの思考や議論のプロセスに、当事者として関わった訳でないため、極端に言えば他人事です。

このため、意見の対立や誤解を恐れず話し合い、次の成長のベースとなる共通の考えを形成する必要があります。

ミッションからスタートしなければならない

『非営利組織の経営』(P.F.ドラッカー、ダイヤモンド社)

議論することは、ミッションが先で、その後に事業です。(ミッションについては、コチラで詳しく述べていますので、参考にして頂ければと思います。)

起業後の組織作りを、共有させて頂きました。

どの業界か、社長がどの職種に精通しているか、創業時の経営陣が何人か、今の従業員は何人かなど、変数によって従業員数の最適解は異なりますので、1つの目安とお考えください。

しかし、自分で起業した会社の変遷や、他の社長から伺った話からも、変遷のプロセスについては、あながち外れていないと思いますので、参考にして頂ければと思います。